郷土に根付く「かしわ」の文化
「かしわ」とは、西日本や名古屋周辺で鶏肉を指す言葉です。宮崎県や鹿児島県でも古くから使われており、かしわは貴重なたんぱく源であると同時に、祝い事や来客時に振る舞われる「ハレの日の食べ物」として親しまれてきました。
都城地方は古くから養鶏が盛んな地域で、各家庭では庭先で鶏を放し飼いにする風景が一般的でした。大切な来客や慶事のときには、その鶏を料理に使い、ササミやむね肉の刺身、煮物、炊き込みご飯などで客をもてなしていました。
このような家庭料理としての「鶏の炊き込みご飯」が、のちに駅弁「かしわめし」の原型となりました。

郷土料理を駅弁に
昭和30年、せとやま弁当はこの郷土の味をもとに、地元の鶏肉を使った炊き込みご飯の駅弁を開発しました。それが「かしわめし」です。以来、都城の食文化を背景に生まれた弁当として、都城を訪れる人や、地元の人に親しまれてきました。
当店のかしわめしは、正方形の木箱に炊き込みご飯を詰め、その上に錦糸玉子と味の染みた鶏むね肉のスライスを並べ、刻み海苔をあしらっています。ご飯は鶏のスープと醤油で味付けされ、やさしい風味と深い旨みが特徴です。
九州のかしわめしは、そぼろ状の鶏肉を使うのが一般的ですが、当店のかしわめしはスライスしたむね肉を使っています。味が染みこんだムネ肉は、ダシで炊いたご飯との相性がよく、さっぱりとしながら味わい深いおいしさです。

都城を代表する味として
発売から半世紀以上が経った今でも、かしわめしは地域に根付いた味として多くの人に親しまれています。家庭の食卓や行楽の弁当、贈答品としても選ばれ、都城の食文化を象徴する存在となっています。
2005年にJR九州が実施した「九州の駅弁ランキング」では10位に選出、さらに2025年の「第15回九州駅弁グランプリ」では準グランプリに選ばれ、九州各地の名物駅弁の中でも高い評価を受けています。現在も、当店では発売当初の製法を守り続けています。これからも、変わらぬ味を守りながら、一つひとつ丁寧に作り続けてまいります。


